RLC回路による2次LPF |
このページの内容は当たり前のことばかりなので、御存じの方は読み飛ばして最後の結果だけを見てください。今回「秋月のUSB-DACキット」をネットで検索していて、簡単で性能の良いLPFの作例があれば便利だと思ったので、大きなお世話で自分の流儀をまとめてみました。手前みそながら、1〜2段のRC回路よりはかなり効果的だと思います。 |
ΔΣ型のDACはかなりの高周波ノイズを発生させるため、ローパスフィルター(LPF)の使用がほぼ不可欠です。LPFには、オペアンプ等のactive素子を使ったactive-LPFと抵抗等でただ減衰させるだけのpassive-LPFがありますが、今回は変な色付けをしたくなかったのでpassive-LPFを採用しました。
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今回のRLC回路の概略をごく簡単に説明します。詳しいことは専門書で御確認を...。左図のように入力電圧がV0で、電流がiだけ流れていたとします。そうするとV0は、右式のようにR, L, Cそれぞれの両端の電圧の総和となります。一方、出力電圧Vは、Cの両端の電圧に等しくなります。あとはこの微分方程式を、V0として周波数に依存する正弦波を仮定し、ラプラス変換を用いて解いていきます...(以下、省略)
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R(抵抗) | 12Ω (1/4W) |
L(インダクター) | 22μH (RTP8010-220M-R) 157円 |
C(コンデンサー) | 0.47μF (50V) メタライズド・フィルム |
下の2つの図は、今回の回路定数を用いた時の減衰特性です。左が理論値、右が実測です。理論値では、可聴領域の20KHzで-0.8dbの減衰率、ターゲットとなる1MHzで-52.23dbの減衰率が得られます。なお1MHzにおける減衰率は、おおざっぱに見積もって2段RC回路よりも-10db近く良くなります。入力に DAC-U2704を接続した実測では、コンバーターが16bitのため20KHz程度までしか測定できませんでしたが、ほぼ理論値に準じた結果が得られました。残留ノイズ(S/N)は、このLPFを接続することで3mVから0.08mVまで大幅に減少し、充分実用レベルに達しました。 |
周波数 (Hz) | 減衰率 (db) |
10K | -0.19 |
20K | -0.80 |
100K | -13.44 |
1M | -52.23 |
残留ノイズ (LPFなし) | 残留ノイズ(LPFあり) |
3.0mV | 0.08mV |
試聴の結果は、LPFがない時に比べ圧倒的に音が良くなり、高級CDプレーヤーを繋いでいるかのようになりました。また高音のザラついた感じも完全になくなりました。まったくの大きなお世話ですが、LPFを付けていない方は是非試してみてください。音が大きく変わります(勿論良い方へ)。部品代は、高々500円位なので。 |